湿布の選び方は?
温湿布と冷湿布どちらが良いのか?と良く質問を受けます。
この仕事につくまでは僕も昔はどっちを貼れば良いのかなぁといつも不思議に思っていました。
せっかくなのでそもそも湿布って効果あるの?副作用は?ってところまでお話していきたいと思います。
温湿布VS冷湿布
今は茶色い薄いテープが病院で良く出されるようになりましたが、一昔前までは白地の湿布がほとんどでした。
病院などで出された時はそれを何も考えずそれを貼れば良いですが、いざ自分で薬局に買いに行った時に冷湿布が良いのか温湿布が良いのか迷うと思います。
基本的には受傷48時間までは冷やす、それ以上は温めるというのが一般的な治療のパターンです。
なのでこれに当てはめて考えて貰えば受傷48時間以内は冷湿布、それ以上は温湿布ということになります。
しかし本当に湿布は効果があるのでしょうか?
湿布の効果
単純に冷湿布、温湿布は実際温めたり、冷やしたりする効果はあるのでしょうか?
実際に湿布を触っても温かくもないし、冷たくもありません。湿布を剥がした場所を触ってもこれも温かくも冷たくもありません。
まして缶コーヒーに貼ってもコーヒーが冷たくなったり温かくなったりすることもないでしょう(笑)
ただし冷湿布にはメントール、温湿布にはトウガラシの成分が入っていて1℃〜2℃ほど冷やしたり温めたりする効果があるようです。
しかしその程度では治療としてのアイシングや温熱治療としてはほぼ効果がないですし、昔の湿布の箱に書いてあった「冷感」や「温感」といった言葉が適当かもしれませんね。
なので正直どちらでも対して変わらないというのが本当の所でしょう。
湿布を貼っておけば治るのか?
湿布は基本的に消炎鎮痛薬です。
その消炎鎮痛剤の成分によって第2類と第3類の医薬品に分けられております。基本的には2類の方が強い薬剤が入っていると考えて良いでしょう。
そして強い成分の湿布であっても体に浸透するのはせいぜい皮膚よりやや下位までのものです。筋肉までは到底浸透しません。(これは整形外科にいた時に某有名な湿布を作っている製薬会社の勉強会で聞きました)
もしそれ以上浸透するのであればそれで美容液などを浸透させたら女性にはたまらないと思いますが、そんなの今の所無理ではないでしょうか。
なのでその湿布を貼った所で表面にある神経や毛細血管に作用する程度。
簡単に言えば治すという効果はほぼありません。しかし鎮痛の作用はあるので痛くて我慢できない時に貼るのは良いのではないでしょうか。
あえてもう一度言いますが湿布には治すという効果はほぼありません。
もし湿布だけで治るのであれば病院にも行かず湿布だけ貼っていれば良いですよね?あくまで湿布は貼っている間だけは痛みが和らいでいるように感じるだけのものです。
何年か前に保険を使って湿布を病院が出すのを止めさせられそうになった事がありました。
効果がないからです。それこそ医療費の無駄遣いだからという事でした。保険で1割負担の人が家に溜め込んで人に配ったり、家族の人にも渡しているなんてのは良く聞く話ですが湿布を保険で出すという事は定価の7割引や9割引で薬局で特売されているのと同じという事です。
話がずれてきてしまったので元に戻すと
では何が治しているのかというと結局は自分の身体が治しているという事です。
湿布を貼って痛みが感じにくくなっている間に自分の身体がどんどん治していっているというわけです。
ちょっと切り傷ができた時に何か薬をつけないと治らないって事はないですよね?
湿布の副作用
まず基本的に湿布は喘息がある方は禁止になっています。
これはハッカ系の成分を吸入してしまう事で喘息をひどくしてしまう事があるからです。
その他の副作用としては胃腸などの炎症や潰瘍です。
当然治験を行ってその割合が低いから認可され発売されているのですが、全くリスクがないわけではありません。当然胃腸だけでなく他の臓器にまで影響があると考えられます。
お年寄りなどで毎日、毎日何年も貼っている人がたまにいますが即刻止めた方が良いと思います。
その他モー◯ステープなど光線過敏の方が貼ると湿布を貼ったその部分が直接日に当たる事により真っ赤になるといった事もあります。
まとめ
基本的に湿布には治す効果がほぼありません。
しかし日本人は
湿布を貼る=治る
みたいな考え方をしている人がまだまだ沢山います。
しかし湿布はあくまで痛み止め程度のものであり、副作用もありますので痛みで我慢できない時に貼る程度としてうまく使うようにして日常常習的に使うのは避けましよう。
また慢性的に痛みがある人の場合は、痛くなる原因がどこかにあるはずなのでそれを治療しない限りなかなか痛みは取れないでしょう。
湿布を貼って耐え続けるのも構いませんが、痛みを脳が記憶してしまう前しっかり体を休ませたり、治療してはいかがでしょうか。

下田 純一

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